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ヒンドゥー教神智学の空間論 [古代・中世インド]

宇宙の具体的な階層構造に関して、詳細な宇宙論を述べている「ヴィシュヌ・プラーナ」の宇宙論を紹介しましょう。
ここにも、オリエントの宇宙論の影響が感じられます。


まず、ヴィシュヌ神が7層の世界を生み出します。
これは上から「プラクリティ」、ブッディに相当する「大いなもの」、アハンカーラに相当する「元素の根源」、そして5大元素です。地の層は宇宙卵になります。
この宇宙卵は多数存在します。

宇宙卵の中の宇宙は大きく分けて7層に分けられます。
上にはまず、神々の住む4つの天上世界があります。そして、次に天界(スヴァル・ロカ)、空界(ブヴァル・ロカ)、地界(ブール・ロカ)です。天界(天球)は10層で構成されています。
上から順に「北極星/大熊座(7聖仙)/土星/木星/火星/金星/水星/星宿(オリエントの12宮に相当するもの)/月/太陽」です。空界はオリエントの月下界に相当する天球の下の空間です。地界は地上、地下、地獄を含みます。

また、地上の中心には「メール山」と呼ばれる巨大な黄金の山があります。
メール山の山頂にはブラフマー神の大宮殿があり、その八方には神々がいて世界を守護しています。
メール山の周辺には巨大な「ジャンプ樹」が生えていて、その果実からは不死の霊液を流れます。また、ブラフマー神の宮殿からガンジス川が四方に向かって流れていきます。
人間(インド人)が住んでいるのは「メール山」の南方の国で、唯一楽園ではない場所です。

これらはシャーマニズム神話の普遍的な要素です。
ですが、「世界山」や「世界樹」は古代ペルシャの宇宙論にもありますから、古代アーリア以来伝えられていたものか、後世にペルシャから伝わったものかもしれません。
 

(プラーナの宇宙論)
プラクリティ
大いなるもの(ブッディ)
元素の初源(アハンカーラ)
エーテル
---------
地(宇宙卵)
4天上界
天界
(北極星/大熊座/土星/
木星/火星/金星/
水星/星宿/月/太陽)
空界
地界
(地上/地下/地獄)

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ヒンドゥー教神智学の階層論 [古代・中世インド]

オリエントの宇宙論、ヴェーダーンタ哲学、サーンキヤ哲学、仏教などの影響を受けて作られた、ヒンドゥー教のプラーナ文献などに記された宇宙論を紹介しましょう。
これは、ヴァーダ以来の伝統的な思想を新たに統合したものと言えます。


まず、宇宙の根源である至高存在は「パラ・ブラフマン」と呼ばれます。
これはサーンキア哲学の「プルシャ」、ヴィシュヌ派の「ヴィシュヌ」、シヴァ派の「シヴァ」に相当します。パラ・ブラフマンは「有・知・歓喜」という性質を持ちます。

このパラ・ブラフマンからは物質的な存在(素材)、宇宙的な存在(マクロコスモス)、個的な存在(ミクロコスモス)がそれぞれ階層の高いものから順に生まれます。
階層は大きく分けて「原因的(極微)な段階/微細な段階/粗大な段階」の3つに分かれます。
この3つの段階はそれぞれ「熟睡/夢見/覚醒」の状態の意識に対応し、パラ・ブラフマンの段階は至高の「第4状態」の意識に対応します。

まず、物質的存在、素材の原因的段階は未開展物「アヴィヤクタ」です。
これは3つの運動傾向「サットヴァ、ラジャス、タマス」が均衡した状態です。
これはサーンキヤ哲学の「プラクリティ」、ヴェーダーンタの根源的な「マーヤー」、タントラ派・シャークタ派の「シャクティ」に相当します。
これが微細な段階では、まず、オリエントの第1質料に相当する「タンマートラ」となって、これから「微細な5大元素」となり、粗大な段階では微細な5大元素が結びつき合って「粗大な5大元素」となります。

次に、宇宙的存在は、原因的段階が(オリエントのデミウルゴスに相当する)宇宙創造神の「イシュワラ」です。
次に微細な段階が(オリエントの世界霊魂「アニマ・ムンディ」に相当する)宇宙自体の神である「ヒラニヤガルバ」です。
そして、粗大な段階が宇宙神の物質的身体である「ヴィラート」です。
宇宙創造神や世界霊魂は「ブラフマー」、「ヴィシュヴァカルマン」、「プラジャーパティ」などと呼ばれることもあります。

次に、個的な存在、生物存在の側面です。まず、パラ・ブラフマンがパラ・ブラフマンと同質なものとして、すべての生物の霊魂の根源である普遍霊「パラ・アートマン」を、さらに個的な霊である「ジヴァ・アートマン」あるいは単に「アートマン」を生みます。

人間にも3つの次元の存在があります。カルマによる種子を持つ霊的次元の「コーザル(カーラナ)・シャリーラ(原因体)」、魂的次元の「リンガ(スクシュマ)・シャリーラ(微細体)」、肉体である「ストゥーラ・シャリーラ(粗大体)」です。

また、より具体的な5つの段階の身体、真我を包む5つの鞘があります。
原因体に相当する「アーナンマダヤ・コーシャ(歓喜鞘)」、微細体でブッディに相当する「ヴィジュニヤーナマヤ・コーシャ(知性鞘)」、微細体でマナスとアハンカーラに相当する「マノマヤ・コーシャ(心の鞘)」、微細体でプラーナに相当する「プラーマナヤ・コーシャ(呼吸鞘)」、粗大体である「アンナマヤ・コーシャ(食物鞘)」です。


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ヨガ派の修行体系 [古代・中世インド]

バラモン系の「六派哲学」の一派である「ヨガ派」の聖典として、2-4世紀頃に編纂された「ヨガ・スートラ」の修行体系を紹介します。
これは心身の止滅による解脱のための実践論です。
しかし、そこには意識の階層性に関する理論があります。

「ヨガ・スートラ」のヨガは、精神のコントロールを行う瞑想法を中心にしていて、「古典ヨガ」と呼ばれます。
また、精神の止滅を目指す最終段階は、「ラージャ・ヨガ」と呼ばれます。

 後にタントリズムの影響で生まれる「ハタ・ヨガ」のような、身体的、力動的な呼吸法や座法、気(プラーナ)の本格的な操作は見られませんし、「パガヴァット・ギータ」で語られるような、信仰的、日常的、在家的なヨガでもありません。

「ヨガ・スートラ」はヨガを8段階からなる階梯に体系化しています。
そのため「八支ヨガ(アシュタンガ・ヨガ)」とも呼ばれます。

この「古典ヨガ」の方法は、ウパニシャッドや沙門が活躍した頃にはすでにある程度、形成されていたものと思われます。

ヨガ派はサーンキヤ哲学と関係が深く、ヨガ派が行う「古典ヨガ」の体験をもとにサーンキヤ哲学が生まれたと共に、サーンキヤ哲学によって「古典ヨガ」が体系化されてきました。
ちなみに、「ハタ・ヨガ」はヴェーダーンタ哲学やシヴァ派、シャークタ派と関係が深いのです。

また、仏教(アビダルマ仏教)が修行体系を宇宙論と結びつけて体系化していたので、その影響も受けています。

まず、その8段階の階梯を簡単に紹介しましょう。

①禁戒(ヤマ):不殺生、不淫などの倫理的戒律
②勧戒(ニヤマ):苦行や祈祷などによる浄化
③座法(アーサナ)
④調気法(プラーナーヤーマ):呼吸と連動したプラーナ(気)のコントロール、最終的には呼吸をなくす止息(クンバカ)
⑤制感(プラティヤーハーラ):感覚を外部の対象から分離して意識を内部に向ける

そして、最後の3つの段階は、総合的な精神コントロールとして結びついていて、「綜制(サンマヤ)」と呼ばれます。
仏教では「止(シャマタ)」と呼ばれます。

⑥凝念(ダラーナ、英語で「コンセントレーション」):意識を外界や身体の一点、あるいは特定のイメージや観念に集中して、他の心の動きを消す。一つの対象に対して多面的から集中することはある

⑦静慮(ディヤーナ、音訳して「禅」、英語で「メディテーション」):その一つの対象に対して、一面的、かつ持続的に集中する

⑧等持(サマディー、音訳して「三昧」、英語で「コンテンプレーション」):対象と完全に一体化する

「三昧(サマディー)」とほぼ同義語として「等至(サンスクリット語で「サマーパッティー」)」という言葉が使われることもあります。
これは直観的な知とも言えます。
「サンマヤ」は開眼でも閉眼でも行われますが、開眼で行う場合は外界の視覚を無視します。
以上の8段階のうちの「サンマヤ」の3段階は、対象に対する意識、心のあり方によって分類されていますが、さらに、対象の微細さの差による分類も生まれました。
これを見ると、瞑想によって順にどのような意識の状態が生まれてくるのかが良く理解できます。

8段階の実践体系の⑧「三昧」は、主客の意識が消えた対象との一体化を意味しました。
仏教が瞑想の高い段階を詳細に分類した体系を作ったために、ヨガ行派もこの影響を受けて、「三昧」の段階を、その対象によって更に細かく分類したのです。

まず、「三昧」はそれがイメージのような形のある心の働きを残したものであるかどうかで、「有想三昧(有種子三昧)」と「無想三昧(無種子三昧)」に分かれます。
さらに「有想三昧」は、物質的なものを対象にする粗大な心の働きがある「有尋三昧」、それがなくなり非物質的なものを対象とする微細な心の働きだけがある「有伺三昧」、さらにそれもなくなり対象が消滅して穏やかな心地良さだけにある「有楽三昧」、心地良さも消滅して自分の存在感覚だけになる「有我想三昧」の4つ段階に分かれます。

ここには、仏教の「四禅」「四無色界定」の体系の影響を感じます。
仏教と違うのは、サーンキヤ哲学を基にしていて、「尋」の対象を「粗大な五大」と「11根」、 「伺」の対象を「微細な五大」、「アハンカーラ」、「ブッディ」と考えるところです。

また、「有種子三昧」と表現される場合は、「有尋定」、「無尋定」、「有伺定」、「無伺定」という4分類がなされます。

「無伺定」では、内面が清澄になり、「真智(プラジュニャー)」が発現し、他の行(潜在印象)が現れるのを妨げます。

「無種子三昧」では、対象がなくなり、「真智」も停止し、心が止滅し、プルシャと対面します。
そのためには、「離欲」が必要とされます。
この段階は、「綜制(サンマヤ)」を超えた段階だとされます。

ただ、サーンキヤ哲学的には、「心」が停止・止滅するといっても、「心」が本当になくなるとは考えません。
止滅の行(潜在印象)だけが存続し、心自体が流動変化しなくなるのです。

(ヨガの実践体系)
⑧三昧・等持(サマディー)=等至(サマーパッティー)
 ・無想(無種子)三昧:心の止滅
 ・有想(有種子)三昧:有形対象への一体化
   無伺三昧(有我想三昧・有楽三昧):真智の発現
   有伺三昧:微細な対象に一体化
   有尋三昧:粗大な対象に一体化
⑦静慮=禅(ディヤーナ):一面的集中の持続
⑥凝念(ダラーナ):一つの対象に集中
⑤感覚の外部対象からの分離
④呼吸法
③座法
②浄化法
①倫理的禁戒

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