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スーパー・シーア派と7大天使 [イスラム教]

イスラム教の宗派の中でも、秘教的でミスラ・マニ教の影響の濃く、アリーの教えよりも秘教の伝統を重視するような様々な宗派は総称して「スーパー・シーア派(ウルトラ・シーア派)」と呼ばれます。
その中でも思想的・政治的に過激な宗派は、ペルシャ語では「グラート」と総称されます。
また、スーパー・シーア諸派は7大天使を重視するので「ヤザダニズム(天使教)」と呼ばれることもあります。

スーパー・シーア派には、先の図表で紹介した以外にも、「ヤザタ派」(クルディスタン)、「アハレハック派」(クルディスタン)、そして、スーフィー教団の「ベクターシュ教団」(トルコ)、「ナクシュバンディー教団」(中央アジア)、「キジルバシ教団」などがあり、現代まで活動しています。

「ヤザダニズム」の7大天使論、グラートのドゥルーズ派、アラウィ派、純正同胞会の世界観を紹介します。


<7大天使論> 

「初期イスマーイール派の神話」で紹介したアブー・イーサーの文字宇宙創造神話に見られる「7文字」は、いくつかのスーパー・シーア派においては、「7大天使」やミトラ教の神格に対応付けられました。

スーパー・シーア派のいくつかの派は、ミスラ教の創造神話・7光線論と、アブー・イーサーの文字宇宙創造神話に見られる「7文字」、そして7大天使を結びつけ、対応づけました。

神イェッラー・ミール(ミスラ神=白髪の老人神のズルワン)が無限光(大女神のソフィア)を作り、その中から太陽神(美少年神のミスラ)が生まれます。
太陽神は聖7文字を宿した黄金の蛇(孔雀の第1天使アザゼル=アーリマン)を巻きつけています。

また、異説では、神が光に息を吹きかけてアザゼルを生み出し、アザゼルから7つの霊的な文字を生み出します。
まず、カーフ(K)とヌーン(N)、そしてワウ(W)とヤー(Y)を、次にこれらから女神クーニー(KWNY)を作りました。
そして、4文字からは4大元素を監督する天使のダルダーイル、ヌラーイル、アズラーイル、イスラーフィールを、クーニーからは4大元素を生みました。

さらに、アザゼルは神カダル(QDR)を生み、そこから3文字クァーフ(Q)、ダル(D)、ラー(R)を生み出します。
そして、3文字から3大天使のアザゼル、ジブリール、シェムナーイルを、カダルから(?)3つの霊的な力ジャッド、ファトハ、ハヤールを生み出しました。
7大天使は以下のような対応関係にまとめられるようになりました。

(7大天使とその対応)
天使
文字
聖者
ミスラ教とギリシャの神
--------------------------------
アザゼル
クァーフ(Q)
アディー
ズルワン
ジブリール(ガブリエル)
ダル(D)
アブー・ベクル
ミスラ
シェムナーイル
ラー(R)
ナシルッディーン
ソフィア
ダルダーイル(ラファエル)
カーフ(K)
バスラのハサン
ヘルメス
ヌラーイル
ワウ(W)
フェクルディーン
アナーヒター
アズラーイル
ヌーン(N)
サジャディーン
ヘラクレス
イスラーフィール
ヤー(Y)
イエス
アフラ・マズダ



<ドゥルーズ派> 

「ドゥルーズ派」はファーティマ朝の第6代イマームのハーキムが神であるとして、イスマーイール派から分離しました。
彼らは入信者を認めずに、レバノンの山岳部に籠りました。

ドゥルーズ派の宇宙論では、「ハーキム」を宇宙の第一原理とし、その後、「普遍的知性」→「普遍的霊魂」→「言葉」→「先行者」→「後続者」という宇宙の5位階が生まれます。
そして、さらにその後、「信者」に至る4つ位階が生まれます。
共同体は秘儀に参与する「知者」と一般の「無知者」に分かれます。

ドゥルーズ派の特徴の一つは、「輪廻」を認めることです。
これはマニ教の影響を受けたもので、人間の間だけでの転生を考えます。


<アラウィー派> 

シリアで活動する「アラウィー派」(ヌサイリー派とも呼ばれます)の宇宙論は、光と闇の2世界があるとする2元論を特徴としています。
それぞれの世界は、7つの階層と7つの周期を持っています。

また、神が「意味」、「名前・住居」、「門」の三位一体として現れます。
そして、「門」から5つの「無比なるもの」が現れます。

人間は光の世界の星でしたが、不服従によって肉体へと堕落し、光の救いによって7つの天国と地獄を輪廻した後、光の世界に復帰すると考えます。
アラウィー派の輪廻観は、ドゥルーズ派とは異なり、人間以外にも輪廻するというもので、ギリシャ・インド的です。


<純正同胞会> 

イスマーイール派の秘密結社「純正同胞会」もスーパー・シーア派的存在です。
これはイスマーイール派が政治的弾圧をのがれるために結成した結社で、ミスラ・マニ教以外に新プラトン主義、新ピタゴラス主義、ヘルメス主義を取り入れました。

独自の宇宙論とヘルメス主義的な万物照応の世界観を持ち、禁欲・苦行と象徴的な認識を中心に、霊魂救済を目的としていました。
真の自分を認識して階層を上昇しながら、普遍的霊魂に合一することを目的としました。

純正同胞会は以下のような階層的な宇宙論を持っていて、人間はその9層を合わせ持つミクロコスモスだと考えました。
純正同胞会を率いていたのは、神の世界の真理を認識したという天使的な大使達です。
中でもムカッディスィーという人物の影響が強かったようです。
純正同胞会の影響は11世紀には一大勢力となって全イスラム世界に広がりました。

(ドゥルーズ派の階層)
(アレウィー派の階層)
(純正同胞会の階層)
ハーキム
マーナー(意味)
第1層:一なる神
普遍的知性
イスム(名前)
第2層:霊的知性
普遍的霊魂
バーブ(門)
第3層:普遍的霊魂
言葉
5つのアイターム(無比のもの)
第4層:第一質料
先行者
光世界の7層
第5層:第二質料
後続者
 
第6層:原型世界
ダーイ
 
第7層:7惑星天
マーズーン
 
第8層:月下界
ムカースィル
 
第9層:鉱物・植物・動物
信者
 
 

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