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イスマーイール派とアダムの復帰 [イスラム教]

ファーティマ朝のイスマーイール・ムスターリー派(西方派)の思想は、その後、イエメンのスライフ朝のイスマーイール・タイイブ派に受け継がれました。

タイイブ派はキルマーニーの思想を受け継ぎましたが、ハーミディーの頃からタイイブ派独自の世界観が作られ始めました。
タイイブ派は、キルマーニーが神話的要素を排除したのに対して、再度、神話的要素、特にアダム堕落神話を結合させました。
そして、イスマーイール派の神智学を完成させました。

ハーミディー及びその後に作られたタイイブ派の世界観を紹介しましょう。

まず、神は「不可知」の存在であり、「存在するもの」ではなく「存在させるもの」と考えます。

神に「あれ!」と言われて存在するのが「第一知性体」です。
これは啓示されたイスラム教の神「アッラー」のもあります。
この「第一知性体」は神を愛しながらこれを知りえないために嘆く存在です。

これはキリスト教やグノーシス主義に近い発想です。
「第一知性体」は、「普遍的霊魂(新プラトン主義の言う「純粋霊魂」に相当するもの)」である「第二知性体」を流出します。
「第一知性体」は自らの中に「限界(グノーシス主義で言う「境界」)」を持つため、「第二知性体」との間に断絶が存在します。

「第一知性体」は「召集」を行なって霊的な諸存在を組織しようとします。
これはグノーシス主義で言うアイオーン界のプロレーマです。
「第二知性体」はこの呼びかけに答えて、8つの知性体を流出し、プロレーマを形成します。

しかし、「天上のアダム」である「第三知性体」はこれを拒否します。
「第三知性体」は過信と忘却のため、「第一知性」を神と誤解し、「第二知性」の自分に対する優越性も認めませんでした。
あるいは、「限界」を拒否して、イブリース(おごり)の悪魔的な陰を低い世界に投げかけた、とも言われます。

こうして、「第三知性体」は堕落して「第十知性体」となります。
これは「堕落したアダム」、「霊的アダム」と呼ばれます。

この「堕落したアダム」は霊的世界にとどまる限りこの闇から逃れられないことを知って、物質世界を作ります。
堕落から復帰するために物質世界を作ったという考えは、ユニークで興味深いものです。
「堕落したアダム」は「能動的知性」であって、啓示の天使ジブリール(ガブリエル)であってキリスト教の聖霊でもあるのです。
そして、地上の自然や聖職者組織を導く存在となります。

(イスマーイール西方派の救済神話)
<天上の位階>
<7人の預言者>
<地上の位階>
存在させるもの
(不可知の神)
 
 
第1知性体(アッラー)
 
預言者
第2知性体(普遍的霊魂)
 
イマーム
第3知性体(天上のアダム)
 
7人のイマーム
第4知性体
復活のイマーム
第5知性体
ムハンマド
保証人
第6知性体
イエス
布教師
第7知性体
モーゼ
布教師
第8知性体
アブラハム
布教師
第9知性体
ノア
上級資格
第10知性体(堕落したアダム)
地上のアダム
下級資格者 


物質世界には「地上のアダム(普遍的アダム)」に始まる人間が生まれます。
「地上のアダム」は霊的世界の組織に対応するように27人の階層的な組織(召集)を作ると、「第十知性体(堕落したアダム)」のところに上昇します。
その後、「地上のアダム」の7人のイマームが順にここに上昇し、「第十知性体」とそれ以上のすべての階層の知性体は1段階層を上昇します。

その後、隠れイマームの時期を経て新たな預言者(告知者)とそのイマームの時期が繰り返されます。
預言者は「普遍的霊魂」の7つの部分の一つであり、「部分的アダム」とも呼ばれます。

預言者はアダムに始まり、ノア、アブラハム、モーゼ、イエス、ムハンマド、最後に「カーイム(時の主、復活のイマーム)」と呼ばれる存在と全部で7人が続きます。
つまり、7つの周期があり、ムハンマドは6回目を開く預言者なのです。

1つの周期が終わるごとに、「堕落したアダム」は1段1段と位階を上昇します。
そして、最後の「復活のイマーム」の上昇をまって、「堕落したアダム」は第2知性体のそばにまで復帰するのです。

この大復活には36万年の36万倍かかります。
つまり、宇宙創造の目的は、人類の天使である天上のアダムが失った地位を回復するための機構を作ることだったのです。

地上の位階組織は天上のそれに対応したもので、10段階からなっています。
まず、「第一知性体」に対応するのが「預言者(告知者)」、「第二知性体」に対応するのが「イマーム(霊的なイマーム)」、「第三知性体」に対応するのが地上に現れる7人1組としてのイマームです。

一般の信者は信仰によって一条の光が信者の魂と結びつきます。
この光は信者の行動によって「光の形・性質」として育ちます。
この「光の形・性質」は信者を1つ上の位階の存在と結びつけます。

そして、位階の上層部には1人のイマームと多数の「光の形・性質」を中心とする「光の寺院」が存在して、信者はそこに結びつきます。
この「光の寺院」はイマームと共に「第十知性体」のところに上昇します。
そして、やがて7人のイマームによる「光の寺院」が結びつき、「至高の光の寺院」が生まれます。

このミスラ教・シーア派系の霊的世界に存在する導師達の組織という発想は、仏教の仏や菩薩達の階層的な組織の発想と似ているので、互いに影響を与えあったのかもしれません。

ただ、二ザール派(東方派)では、イマームを「第一知性体」に対応するもの、預言者を「第三知性体」に対応するものと考えました。
ですから、第6の周期を開くために現れたのもムハンマドではなく、イマームのアリーで、アリーが小化身であるイマーム達を送るのです。


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