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プロクロスの帰還 [ヘレニズム・ローマ]

プロクロスはプロティノスの流出の思想を3つの原理「三性(トリアス)」として理論化しました。

まず、一者が生み出したものには一者が内在するので同じ(あるいは類似した)性質を持っていることが「止留」。
次に、とは言っても一者に劣るために相違することが「発出(流出)」。
最後に、一者から生み出されたものが、一者を振り向き、形成され完成されることが「帰還」です。

この「三性」はキリスト教の「三位一体」に相当する新プラトン主義の大原理とされました。
また、この「三性」はヘーゲルの弁証法にも影響を与えました。 
 
プロクロスはプロティノスとは違って、人間の個別的霊魂は全体として物質世界に下降していて、ヌースの世界に残っている部分はないと考えていました。
彼にとって一者へと至る道は、プロティノスのそれと似ていますが少し異なるところもあります。
彼は過程を3つに分けました。まず、肉体的、社会的な欲望を捨てて魂の美を求める「エロース」。
次に、数学的思考や弁証法、ヌースによる純粋思考などによって真理を求めて有にまで至る「哲学的生活」。
最後が一者との合一に至る「信仰」です。プロクロスはキリスト教と同じく一者からの照明を強調します。
 
また、プロクロスは哲学的な観照の道だけでなく、神の力を地上に降ろす魔術的方法である「降神術」をも重視していました。
霊魂よりも低い動植物が、高い存在と関係しているという構造は、動植物を使う魔術を正当化するを論理をも提供したのです。
 
新プラトン主義はプロクロスによって体系化され完成されましたが、529年にはローマ皇帝によってキリスト教以外の宗教や哲学が禁止され、プラトンの創設以来のアカデメイアも閉鎖に追い込まれていきました。
こうして、ヨーロッパ世界(ローマ世界)では純粋な哲学的探究と神秘主義的な古代思想が一旦、終わりを告げたのです。
哲学的探究はイスラム世界に受け継がれましたが、ヨーロッパ世界ではキリスト教神学という形でしか生き残らなかったのです。
ヨーロッパ世界で哲学的探究と古代思想が本格的に復活するには、ルネサンス時代を待たないといけません。

 


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