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プロクロスの階層と系列 [ヘレニズム・ローマ]

プロティノスの後の新プラトン主義者の中で、特に重要なのはビザンチンで生まれ、アレキサンドリアからアテナイに行き、プラトンの学園アカデメイアの学頭になった5世紀の哲学者プロクロスです。
彼はプロティノスの哲学や他の新プラトン主義者の哲学を、精密かつ総合的に体系化して、後世に大きな影響を与えました。
 
彼はプロティノスの考えた階層性をさらに細かく分けました。
彼はプロティノスの言う「思考対象」を「有(存在)」、「思考作用」を「生命」、と表現して、一者とヌースの中間の存在と考えたのです。
そして、「思考主体」を「ヌース」であるとしました。
つまり、パルメニデス以来の問題であった「認識=存在」の問題を、アリストテレス、プロティノスの考えを踏まえながら、その構造を階層化したのです。
 
また、魂に関しては、大きく「神的霊魂」、「鬼神的霊魂」、「人間霊魂」の3つに分け、さらに「神的霊魂」を「宇宙霊(純粋霊魂)」、「世界霊魂」、「天体霊魂」、「月下の神々の霊魂」の4つに分け、「鬼神的霊魂」を「天使霊魂」、「鬼神霊魂」、「半神霊魂」の3つに分けました。そして、動植物は魂を持たず、魂の似像しか持たないとしました。
つまり、プロクロスにとっては魂と言えるのは「理性的」段階以上だったのです。
 
プロクロスの階層で興味深いのは、上下が対象の関係にあることです。
霊的知性界では上の存在ほど単純で、物質界では下の存在ほど単純なのです。
そして、ある階層の存在はその1つ上の存在から影響を受けるだけではなくて、上下対象の関係にある下の存在は上の存在からも影響を受けるのです。

「一者」は形・性質を持たない点で「純粋素材」と同じで、「純粋素材」は「一者」からも直接生み出されます。
「無生物」は「有」と同様に単に存在して認識される対象となるという性質のみを持っています。
「植物」と「生命」はこれに加えて成長するという性質を持っています。
「動物」と「霊的知性」はこれに加えて非理性的(直観的あるいは直感的)な思考を行うという性質を持っています。
「魂」は中間にあって、物質的世界と霊的世界の両方に向き合うことができて、理性的な思考を行う存在です。

この上下の対象性はルドルフ・シュタイナーの思想に影響を与えました。

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また、プロクロスは同じ階層内でも「一」から「多」へと展開する系列も考えました。
彼自身はこれを縦の階層のように表現していますが、実際には奥行の次元だと解釈できます。
奇妙にも、一者の階層にも多なるものへの展開があるのです。
これは彼の発案ではありませんが、彼によって理論化されました。

まず、各階層の筆頭的な一なる存在の「第一のもの(ヘー・モナス)」とそこから生まれる「多なるもの」に分けることができます。
この「多なるもの」は、「限」と「無限」から合成された「混合されたもの」なのです。
この考えはピタゴラス主義やプラトンの「不文の教説」を思わせます。
その階層の中でも「第一のもの」は特別な存在で、上位の階層の性質を反映します。
これはその階層で最初に生まれたものですが、奥行の次元で考えると、最奥の存在と解釈できるでしょう。

また、「多なるもの(混合されたもの)」には、「限(形・性質)」の優勢なものと、「無限(素材性)」の優勢なものがあります。
「第一のもの」だけでなく、先頭に近いもの(限の優勢なもの、より深層なもの)ほど上位の階層の性質を反映します。

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一者の階層の「多なるもの」は「単一者(ヘナス、複数形はヘナデス)」と呼ばれます。
つまり、一者の一という性質を持った存在が多数存在するのです。
プロクロスはヘルメス主義的な傾向、つまり、多神教的で魔術的な伝統にも親しんでいました。
当時支配的になったキリスト教に対しては、哲学も秘儀宗教もギリシャ神話もヘルメス主義も同じ伝統的な思想に属していたのです。

ですからプロクロスは、伝統的な神々の存在をも哲学的に解釈して認めていました。
一者の階層の「単一者(ヘナデス)」は、ゼウスやアテナなどの神々が最高の次元においてとる姿として哲学的に解釈されたのです。
神々が様々な性質を持っているように、「ヘナデス」も「父/生産/完全/守護/生命/高めるもの/浄化/制作/帰還」などの性質を持っています。

同様に、「存在」、「生命」、「知性」のヌースの階層にも「単位的なもの」と「多なるもの」が存在するのですが、「ヘナデス」が様々な神々だとすれば、これらヌースの様々な存在は様々な天使達とも言えます。
このプロクロスの考えは偽ディオニシオスのキリスト教天使論に影響を与えました。


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