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イアンブリコスと降神術 [ヘレニズム・ローマ]

イアンブリコスは『カルデア人の神託』などのズルワン主義=カルデア神学やヘルメス主義に大きく傾倒して、高等魔術としての降神術を理論的に擁護し、新プラトン主義の潮流を大きく変えました。

彼の師(先輩)のポリピュリオスは降神術に否定的で、イアンブリコスとの間で降神術の是非に関する論争がありました。
ポリピュリオスが公開質問状を出し、イアンブリコスがこれに エジプト人の名で答えたのが俗に『エジプト人の秘儀について』と呼ばれる書です。
あえてエジプト人の名で答えたのは、新プラトン主義内の分裂を共通の論敵であったキリスト教徒に見せないためでした。
 
イアンブリコスは『カルデア人の神託』の論理を受けて、降神術は神々の方から自発的に人間の魂を光に照らし、上方に引き上げ、人間自身を超越させて神々と合一させるものだと主張しました。
人間の魂の中に「象徴」として先在している神々が、神名と祈りによって喚起され、秘密のエネルギーを働かせ、神々が固有の像を見い出し、光によって魂を照らすのです。
彼は現実的な力としての「象徴」を降神術のキーワードとして考えたのです。

また、彼は言葉は他の言語翻訳されると、同じ力を持たなくなるとして、神名や呪文などの魔術的な言語の意味を強調しました。
そして、音楽の力をも重視しました。
ピタゴラス以来、音楽は天体の調和を表現したものですが、イアンブリコスは、特定のハーモニーは特定の階層の特定の神々に結びついているとして、魔術的に解釈しました。

イアンブリコスはプラトンの太陽の比喩を継承しながら、それを光の神学へと発展させました。
ここにはペルシャ、カルデアの神学の影響もあるでしょう。神の光は「一」であり、神々は外からすべてのものを照らし包みます。
イアンブリコスの存在の階層は、「神々/大天使/天使/ダイモン/英雄達/惑星魂/魂」と続くもので、神々の光はこの系列に沿って下降して人間の魂を照らします。

こうして降神術による神との合一によって得られる知が「予言術」です。
これは知性による認識に先立つもので、神々の知に直接あずかるものなのです。
そして、神々の照明に反応し、「予言術」として神々の知識を得るのは、知性と感覚の中間に位置する人間の表象能力(創造的な想像力)なのです。

イアンブリコスが神的な想像力を重視したことは歴史的な意味があると思います。
これは後のイスラム哲学と類似する考えで、啓示や預言を理論づけることにもつながります。

 


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