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プロティノスの階層 [ヘレニズム・ローマ]

プロティノスは世界をプラトン同様に霊的知性界と物質界(感性界)の2つに大きく分けました。
そして、霊的知性界は至高存在である「一者」、「霊的知性(ヌース)」、「魂」の3つからなります。 
 
ヌースの世界は、すべての部分がすべてを含んでいて、すべてがすべてに対して透明で明瞭な世界です。
ですから、すべての相手の中に自分を見るような世界なのです。この世界観はインドから伝わった仏教の「華厳経」の世界観の影響かもしれません。
ヌースは全体として一体の存在ですが、その様々な側面を分けて考えることはできます。
 
一者はまず、ヌースを素材的な存在として流出します。一者はヌースの「認識(思考)原因」です。
流出された無形のヌースは「認識(思考)」あるいは「認識(思考)作用」と呼ばれます。
これはすぐに一者の方を振り向き、認識して形成されます。
この認識し形成されたヌースは「認識(思考)主体」です。
一方、一者は「認識対象」でもあるのです。
ヌースが認識対象とするのは一者か、ヌース自身です。
 
アリストテレスが考えたようにヌースは認識主体と認識対象が同じで一体なのですが、ここにはある種の分離があると言えます。
グノーシス主義が最初の創造を認識主体と対象(像)の分離と考えたように、プロティノスも原初の創造を分離として考えています。
 
ヌースは一者を見ることで下位の存在である魂を創造します。
ヌースが魂の世界を創造するという側面から見ると「創造神(デミウルゴス)」と表現され、この創造の模範という側面から見ると「イデア」と表現されます。
そして、霊的知性の世界から生まれて魂を形作るものが「ロゴス」です。
「ロゴス」は生命なき自然にも浸透しますが、特に生命を形作る「ロゴス」をストアの言葉である「種子的ロゴス」で表現します。
 
「魂」にはその本来の場所である霊的知性界に存在したままの清浄な存在で、すべての魂の根源になる「純粋霊魂(全体霊魂)」と、それから生まれて物質界に下降していはいますが、それからほとんど離れていない宇宙全体の魂である「世界霊魂」、そして「純粋霊魂」から離れてしまっている星や人間、動植物のような個的な生物の魂である「個別霊魂」があります。

「純粋霊魂」はヌースとほとんど同次元の存在なので、その女性的側面と考えることもできます。
また、「世界霊魂」と「個別霊魂」は「姉妹」の関係にあると表現されます。
ヌースは「父」とも表現されるので、「純粋霊魂」は「母」と表現できるかもしれません。
ちなみに、彼はギリシャ神話を解釈して、天神ウラノスを「一者」、クロノスを「ヌース」、ゼウスを「世界霊魂」に相当する存在と考えました。
また、ゼウスを「ヌース」、アフロディテを「純粋霊魂」に相当するとしていることもあります。

また、プロティノスは魂は単純に下位の存在ほど劣るというわけではなく、下位の存在はその分、宇宙的な法則に従っていると考えました。
例えば、植物魂は世界霊魂から直接生まれるのです。
 
人間の「魂」に関しては、プロティノスは、新プラトン主義の伝統にさからって、霊魂の一部は常に霊的知性界に残っていると考えました。
ここには、霊魂の本質は宇宙の外の神の世界にあるとしたグノーシス主義の影響があるかもしれません。
また、人間の魂は死後に霊的知性界に戻りますが、普通の人間の魂は、因果の法則によってまた物質界に生まれ変わります。
 
このように魂の上部は霊的知性界に留まり、下部は物質界に下って、上の向いてはヌースを観照し、下を向いては質料に生命を与えて支配します。
物質界を生むので魂の中の最下部にあたる「植物魂」です。
「植物魂」はまず、暗黒の無形の物質世界を生み、2度目にこれを見て形を与えてその中に入ります。
通常は下位の存在が上位の存在を振り返るのですが、存在の最下位である質料にはこれができないので、「植物魂」が見るのです。
 
物質的な自然は形を持たない最下位の存在である「質料」から構成されます。
「質料」もまた形の一つでもあるのですが。プロティノスは「素材」や自然を、非物体的、非存在と考えました。
「質料」は魂が働くための単なる「場所」、魂を移す「鏡」のような存在と考えました。「質料」は「闇」のようで、「悪」なのです。
つまり、至高存在(形・性質)と素材、という2元論的な見方や、ペルシャの思想やグノーシス主義が考えるような実体としての悪の存在をも否定した、徹底的な一元論なのです。

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