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プロティノスの一者 [ヘレニズム・ローマ]

プロティノスはペルシャ、インドには行くことができませんでしたが、オリエントの様々な神秘思想の影響を受けたと想像されます。
ですが、彼はあくまでも中期プラトンの神秘哲学の継承者として語りました。そして、スペウシッポスやアルビノスの思想を受け継ぎながら、ギリシャ系神秘主義哲学の古典期における大成者となりました。
彼はプラトンが至高存在について語ることをためらったのと反対に、至高存在について可能なかぎり徹底的に語り、プラトンの秘教的な部分を発展させたのです。
また、アリストテレスの自然神秘主義的側面をも受け継いでいます。

プロティノスの第1の特徴は、まず、プラトンの「善イデア」とアリストテレスの「思考の思考」を超えたもの、「ヌース」を超えたものとして「一者(一なるもの)」を置きます。
そして、それを「無」として否定的にしか表現できないものとして明確に捉えことです。

プラトンが最もつっこんで至高存在について書いたのは「国家」です。
プラトンはそこで至高存在を「善なるもの」と表現し、実在を越えた存在としました。
つまり、プラトンはここでのみ至高存在を「善のイデア」ではなくて、イデアを越えた「善なるもの」だと語っているのです。
また、「パルメニデス」では「一」を「有(存在)」も持たず、知識の対象にならないものと表現しています。
プロティノスはこれらの記述と不文の教説を受け継いだと言えます。

プロティノスは一者を、多くは「かのもの」と呼びます。これは一者が表現しえないものだからです。
彼がそれを「一者」や「善なるもの」と呼ぶのは仮の表現だとも言えます。
彼は、例えば、まずプラトン同様に「善そのもの」と仮定的に言って、すぐに「善でない」、「善を越えた存在」とそれを否定し、最後に「善を越えた善」として再度肯定するような仕方で表現しました。
つまり、プロティノスはプラトンと同様な道を辿りながらプラトンを越えたところまで上昇して、再度下降してくるのです。
これはアルビノスの言う「肯定の道」と「否定の道」を総合するものかもしれません。

また、アリストテレスが至高存在を「思考の思考」として捉えましたが、これは直観的な思考を行う存在と思考される対象の2つが一体になっていると言う意味です。
ですが、プロティノスの一者はこの思考を生み出す原因です。
彼はこれを絶対的に一なる思考として、「絶対思考」とも表現しました。 

アリストテレスが至高存在をあらゆる形・性質が実現したものとしたのに対して、プロティノスの一者は形・性質が存在しない「無(無相)」なのです。
ですが、プロティノスの一者は決して形・性質を受け入れる素材ではなく、それを生み出す存在です。
プロティノスの階層では最上部において形・性質がなくなるのですから、彼の哲学はプラトン、アリストテレスの哲学を受け継ぎながら、彼らにように形・性質を絶対視しないという性質を持っているのです。


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