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錬金術 [ヘレニズム・ローマ]

古代の錬金術については不明な点が多いので、ルネサンス期の資料によって錬金術を紹介しましょう。
ですから、ここにはヘレニズム期のアレキサンドリア以降の思想も含まれているはずです。

物質を再生・浄化させる錬金術のプロセスは秘儀のプロセスと似ています。
特にヘレニズム期の秘儀はヘルメス主義によって体系化されていますし、宇宙(物質)と人間は照応するものですからこれは当然なのです。

錬金術では、まず、素材である物質から、根源的な女性的要素(これは象徴的に「水銀」と呼ばれ、月や王妃、有翼の龍として表現されます。代表的な物質には銀があります)と根源的な男性的要素(これは象徴的に「硫黄」と呼ばれ、太陽や王、無翼の龍として表現されます。
代表的な物質には金があります)を抽出します。
これは秘儀で言えば、禁欲などの準備段階に相当します。

そして次に、抽出された男性的要素と女性的要素を結合させます。
すると、物質は根源的な元素(これはアリストテレスが「第1質料」と呼んだものです)にまで分解されて黒くなります。
この時、その物質が持っていた魂が出ていってしまいます。
このプロセスは「黒化」、「腐敗」と呼ばれていますが、秘儀での「死」、「冥界下り」に相当します。

次に、これを加熱すると物質は白くなります。
この時、物質に純粋で神的な霊魂(これは宇宙そのものの魂である「世界霊魂」の一部です)が入ってきて物質は生き返るのです。
この物質は「両性具有」として表現されます。このプロセスは「白化」と呼ばれます。
これは秘儀では「真夜中の太陽」を見い出した後の純粋な魂としての再生に相当します。  

さらに加熱していくと、物質は様々に変色して最後に赤くなります。
この時、物質は成長して、世界霊魂を凝縮した自然の完成した姿になるのです。
これは「哲学者の石」と呼ばれ、「王冠をかぶった子供」として表現されます。このプロセスは「赤化」と呼ばれますが、これは秘儀での神の「見神」や「児童神の誕生」に相当します。

「哲学者の石」はこの後、「発酵」と呼ばれる加工をほどこしてから実用します。
「哲学者の石」は固体状にも液体状にもなる物質ですが、これは一種の万能薬で、非金属を貴金属に変えたり、人間の病気を直したりすることができます。
つまり、神話における「生命の樹の実」や「生命の水」のような存在です。

このように、錬金術は人と同じように自然の物質を扱います。
人が死と再生の秘儀によって霊魂を高めるように、物質に化学的に死と再生を与えて高めていくのです。
この物質を高める練金術の作業では、作業を行う人間が物質の変成にしたがって精神を高めていかなければいけません。ですから、錬金作業は秘儀でもあるのです。
ただし、(キリスト教化した)錬金術の最終的な目的は、死後の祝福ではなくて、終末に復活して神の国に入る時と同じような神的な浄化された肉体を獲得することです。
これは「大いなる秘法(アルス・マグナ)」と呼ばれます。

ただ、上に紹介した中で、物質を4大元素ではなく男性原理・女性原理の2元論を強調して捉えたり、浄化された肉体の獲得を目指すといった思想は、アラビアの錬金術以降に現われたもので、中国の陰陽思想、練丹術の影響があるかもしれません。

alchemy.jpg 

左上:男性的要素と女性的要素を結合(結婚) 右上:両原理の物質からの脱魂(腐敗)
左下:霊魂の降下と復活(両性具有の誕生)  右下:哲学者の石(王冠を冠った子供)の誕生


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