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ヘレニズムの宇宙論 [ヘレニズム・ローマ]

ヘレニズム期は、アレキサンダー大王のマケドニアがイタリアからペルシャ、インドの一部までを支配しました。
そのため、これ以降、東西文化の交流が活発になって、これまで以上に様々な思想が交流し合い、思想家達も各地を移動しました。

ですが、ヘレニズム、ローマ期には各地の都市や国が政治的な独立性を失ったために、反体制的、あるいは厭世的な思想も生まれました。
アテナイを中心とした哲学も、真理よりも精神的な平安を求め、理想社会よりも社会から離れて生きることを求めるものになりました。
一方、ローマの哲学は実際的で政治的なものが主流でしたが、オリエントからの宗教的、神秘主義的な思想運動を反映して、神秘主義的な思想も生まれました。


ヘレニズム期のオリエント・地中海世界には、バビロニアの宇宙論(カルデアのマギの世界観として知られていたズルワン主義)の影響に、プラトンの『ティマイオス』を代表とするギリシャ哲学の宇宙論を加えて、様々な宗教や思想を越えて普遍的に受け入れられた宇宙論が形成されました。
個別的な思想を紹介する前に、まず、この普遍的なヘレニズムの宇宙論を紹介しましょう。

ヘレニズムの宇宙論は「万物照応」を原理としています。
つまり、上位の世界と下位の世界が連続していて影響を与えるという「階層的な存在の連鎖」があります。
そして、宇宙(マクロコスモス)と人間(ミクロコスモス)は共に神の子として作られた生き物で、両者は様々な階層性を含む同じ構造を持った存在です。
つまり、「マクロコスモスとマクロコスモスの相同性」があるのです。

この宇宙論によれば、宇宙は地球を中心として同心円上に広がる7つの惑星天と恒星天という階層状の構造を持っています。
そして、宇宙の外には神の原型的な霊的直観的知性の世界があります。宇宙はこの神の世界をモデルに作られた1つの生きた存在で、魂を持っています
。この宇宙を司る魂は「世界霊魂(アニマ・ムンディ)」と呼ばれました
また、多くの場合、至高神と世界霊魂の間にいる宇宙の「創造神(デミウルゴス)」を考えました。
そして、たいていの場合は世界霊魂や創造神は宇宙の最高層の恒星天に居を構えていると考えます。

神の世界は「霊的知性(ギリシャ語で「ヌース」、ラテン語で「スピリタス」)」の世界です。
これに対して、宇宙は「魂(ギリシャ語で「プシュケー」、ラテン語で「アニマ」)」と「物質」からできています。
物質的には、惑星天や恒星天は「アイテール(霊気)」で、月より下の世界は「4大元素」でできています。
天は秩序に満ちた完全な不死の世界で、人間や社会が目指すべきモデルとなる世界です。
この基本的な3層説はプラトン主義に由来するものでしょう。

人間は本来は神の子として作られた神的な存在でしたが、何らかの理由で宇宙の中にへ、地上へと降りてきました。
ですから、人間の霊魂の中には、神の世界に由来する神的部分があります。
そして、人間は恒星天や7つの惑星天に対応した階層上の構造を持った魂と、物質的な肉体も持っています。
人間は死ぬとその霊魂は、ストア派とヘルメス主義では通常、7惑星天を通過して宇宙の最上部である恒星天の世界霊魂のところにまで戻ります。
ですが、グノーシス主義では宇宙を越えて神の元にまで戻ると考えました。
新プラトン主義は輪廻思想を持っていますので、霊魂は恒星天にまで戻ってから、再度、神々・ダイモン・人間・動物・植物のいずれかに再生します。
ただし、新プラトン主義のプロティノスは人間の霊魂の神的な部分は常に神の世界に存在し続けていると考えました。

この宇宙論によって死後観が大きく変わりました。
死後に地下で体験するとされた試練は月下界に移され、地下の野原や遠方の島にあるとされた楽園は、恒星天に移されました。
また、惑星天では、人の魂は1枚1枚服をぬぐようにしてそれぞれの惑星天から与えられた魂の性質を返しながら上昇すると考えられることもありました。

(ヘレニズムの宇宙論)
  
神の世界
霊的知性(ヌース)
 
---------------------------------------------------------
物質の世界
 
宇宙(マクロコスモス)
恒星天(楽園、世界霊魂・創造神)
7惑星天
月下界(煉獄、4大原素)
地上
人間(ミクロコスモス)
魂(プシュケー)


肉体

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