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ズルワンの三位一体 [古代バビロニア・ペルシャ]

前節で紹介したように、紀元3世紀頃までにズルワン主義(ズルワン=ミスラ神智学)は様々な地域で様々に展開されました。
はっきりとした形で残されていませんが、その神話にも様々なヴァージョンがあったでしょう。


ズルワン主義の最初の特徴は、至高存在のズルワンから三位一体の神が現れるという点です。
元来、無限時間の神ズルワンは、アショーカル(成長・若さを司る神)、フラショーカル(成熟を司る神)、ザーローカル(衰退・老い司さどる神)という3つの有限時間の神としての顔を持ち、有限の宇宙は9千年で無限時間に帰還して成滅を繰り返すと考えられました。
また、別の説では、ズルワンは4つの神として現れ、宇宙は1万2千年周期で生滅します。


ズルワン主義はマズダ教やミスラ教を統合する中で、ズルワンの現われである3つの神は、アフラ・マズダ、ミスラ、アフリマン、あるいはアナーヒター(アパム・ナパート)と考えられるようになりました。
初期のズルワン主義では、アフラ・マズダとアフリマンはズルワンが最初に生んだ双子の兄弟で、アフリマンはズルワンの疑念から生まれたとされていました。
そして、ミスラは後から現われて両者の戦いに終わりをもたらす神でした。
ゾロアスター教(マズダ教)は、マズダから善悪2霊が生まれるので「相対的2元論」だとしたら、初期ズルワン主義はミトラが仲介する「相対的弁証法的2元論」です。


ですが、徐々にミスラがより重要な神として考えられるようになっていきました。
完成されたズルワン主義では以下のように考えます。無限時間の至高存在(ズルワン)が意志・力(ズルワン)、知恵・素材(アナーヒター/アパム・ナパート)、意識・霊的生命(ミスラ)という3つの次元、位相として現われます。
さらに、これらが宇宙と生命を生みだします。アフラ・マズダとアフリマンの対立は、宇宙の中でのこの霊的生命的位相での対立なのです。
ですから、完成したズルワン主義は「3位一体的相対的弱性2元論」とでも言えそうです。

           (ズルワンの現れ)
 
  初期型 : マズダ(善神)&アフリマン(悪神)    →ミスラ(仲介神) 
  完成型 : ズルワン(意志)&アナーヒター(智恵) →ミスラ(意識)  →マズダ&アフリマン


まず、静的な次元に留まっている至高存在は「両性具有の神ズルワン」と表現されます。
このズルワンが、核的次元であって意志的存在である「父なる神ズルワン」と、素材的で知恵的存在である「母なる女神アナーヒター」に分かれます。
アナーヒターは霊的な火であり海です。
アナーヒターに父ズルワンが意志の光を投射すると、輝く海の表面に意識的・霊的生命的存在である「子なる光の神ミスラ」が生まれます。
ミスラは創造的次元の存在で、至高神ズルワンと人間を媒介する神、契約と正義の神です。


つまり、核的存在と創造的存在の間に、女性的な素材的・知恵的存在があって、これらが三位一体を形成するのです。
この三位一体の考えは、ユダヤ神秘主義(ヤーヴェ/シェキナー/メタトロン)やキリスト教(父/聖霊/子)などに影響を与えました。


宇宙はアナーヒターに由来する素材的側面と、ミスラに由来する霊的生命的側面から形成されます。
アナーヒターはミスラの働きかけによって金色の「宇宙卵」を生みだします。
宇宙卵は2つに割れて、「霊的な火」と「霊的な水」になって、この2つは混じりあって宇宙を形成します。
これらはエジプト神話におけるシューとテフヌトに相当する存在でしょう。


次に、ミスラが自分自身の一部を宇宙に投げ入れると、これも光の部分と闇の部分に分かれて、一方は「アフラ・マズダ」に、もう一方は「アフリマン」となります。
アフラ・マズダは霊的な生命と意識の本質を形成する力で、一方のアフリマンは物質を形成する力です。
アフリマンがアフラ・マズダを攻撃したことは、物質を形成する力が生命・意識を形成する力を疎外すること表現しています。


アフラ・マズダはアフリマンによって殺害されて、「光のかけら」となって地上に墜ちます。
殺害されるアフラ・マズダは、ゾロアスター教の原人間ガヤ・マルタンに相当する存在です。
そして、この光のかけらとなったアフラ・マズダは、ゾロアスター教のフラワシに当する存在で、霊魂に内在する神性としての「内なる神」です。


ズルワン主義を前の節で紹介した至高存在の3つの次元に対応させると、両性具有のズルワンが創造の静的母体、父なるズルワンが創造的核、母なるアナーヒターと子なるミスラが創造的存在であると考えることができるでしょう。


ズルワン主義では創造を神のレベルと物質的な宇宙のレベルを分けて考えます。
そして、「宇宙卵」の象徴は宇宙の創造のレベルに現れます。この宇宙卵は宇宙を形成する根元的な元素「アイテール(霊気)」とされました。
次にこの「アイテール」が「霊的な火」と「霊的な水」と呼ばれる2つの元素的に存在に分かれます。
「原初の海・原初の水」の象徴は、この「霊的な水」としての宇宙のレベルと、「輝く海」である母なるアナーヒターとしての神のレベルの両方に現われます。
宇宙のレベルでの「霊的な水」は「土星天」と同一視されました。


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