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エジプトの創造神話 [創造神話と古代神智学]

エジプトは時代によって、また都市ごとに様々な神々が祭られていますが、古王国や中王国の時代の主要な神学は、ヘリオポリス(主神はアトゥム=ラー)、ヘルモポリス(主神はラー、トート)、メンフィス(主神はプタハ)、テーベ(主神はアメン=ラー)の4つの都市の神話的神学です。
これらは紀元前2000年以上も前に、神話が高度に形而上学的に再解釈されたものとして成立していたと思われます。

まず、ヘリオポリスの創造神話を中心にエジプトの創造神話を紹介しましょう。
最初に存在したのは「原初の水ヌン(深淵アビュッソス)」です。
これは宇宙開闢以前の非物質的存在で、あらゆる存在の母体です。
ですが、それと同時に、ヌンは天地創造以降にも地下水や海、洪水として存在しているのです。
ヌンは蛙の頭を持つ男性神として現されることもあります。
また、ヌンの妻に原初の水であって蛇の姿をした女性神の「ナウネト」がいます。
ヘルモポリスではこの2神以外にも、「蛇(女性神)」と「蛙(男性神)」の姿をした原初の神々が4神いると考えられました。
これらは、「無限の空間」の2神、「闇」の2神、「非存在」の2神という消極的、否定的な表現で表わされます。

次に、この原初の水から「原初の丘」が現れます。
これは「存在の創造の核」に相当するものです。
「原初の丘」も宇宙開闢時の非物質的存在であると同時に、天地創造以降にも世界の中心として存在します。
また、「原初の丘」はミイラ、あるいは蛇頭の姿をした男性神「タテネン(ヘンティ・テネント)」として現わされることもあります。
タテネンは冥界の神でもあります。原初の水からの「原初の丘」の出現は、毎年ナイルの洪水が引いて世界が現れて生命が再生することを、宇宙開闢のイメージに高めたものでしょう。
「原初の丘」は四角錐形の聖石「ベンベン」や柱状のオベリスク、ピラミッドとしても現わされます。

次に「原初の丘」に「宇宙卵」が現れ、その中から「創造神(隠れた神)アトゥム」が生まれます。
「アトゥム」は「光の神(太陽神)ラー」と同一視されるようになりました。
「アトゥム=ラー」は宇宙開闢時の光の神であると同時に、天地創造以降の太陽でもあるのです。
「ラー」は「鵞」や「不死鳥」の姿でも現され、「原初の丘」が現れた時にそこに飛来してとまった(つまり、世界に光をもたらした)とも考えられました。

また、ヘルモポリスの神話では、「原初の水」から「原初の蓮(宇宙蓮)」が生えて、その蓮花が開いてそこから「ラー(写真中)」が生まれたと語ります。
「原初の蓮」は宇宙開闢時の存在であると同時に、天地創造以降も地上に存在して、毎日その花を開閉して太陽を生み出すと同時に休ませると考えられました。
「原初の蓮」は羽のついた蓮のかぶりものをした男性神「ネフェルトゥム(写真下左)」として現されることもあります。

neferutomu.jpg 

*写真左:2つの長い羽根のついた蓮華と、2つのメニト(女性器・再生の象徴である輪飾り)のついた冠と杖を持つネフェルトゥム
*写真中:蓮華から生まれる少年のラー=ホルス
*写真右:太陽円盤とウラエウスを乗せた鷹頭のラー=ホルス

ヘリオポリス、ヘルモポリスの創造神話には「原初の水・深淵」→「原初の丘・原初の蓮・宇宙卵」→「光神(太陽)・不死鳥」という、至高存在の3つの次元が表現されています。

ラーが静的な段階として「原初の水」に留まっていた時には「原初の蛇」の姿をしていたとも考えられました。また、ラーを「原初に水」に引き戻すような敵である「悪蛇アペピス(アペプ)」が冥界にいます。
ラーがアペピスと戦う時は、「猫(マングース)」の姿をとることもあります。

太陽神としてのラーは船に乗って昼に天を移動しますが、毎夜、船を乗り換えて地下の冥界を移動します。
大地に沈む太陽神は特に「ホルアハティ(地平線のホルス)」あるいは「アトゥム」と呼ばれます。
そして、地下に隠れた太陽神は「アウス」あるいは「アトゥム」と呼ばれました。
太陽神は自らの神性を犠牲にして冥界に下ってまでも(肉体を持って神的存在としては死ぬとも考えられました)、死者達に光を当てて祝福を与えるために冥界へ下る慈悲深い存在なのです。

冥界には「アペピス」を代表とする蛇や悪霊がいます。
冥界そのものが大蛇であるとも考えられて、ラーはその中を尾から口へと抜け出ます。
この間にスカラベ(フンコロガシ)の成虫に象徴される再生を体験します。

そして、朝に神的な存在として太陽神が復活するのです。
この地平線から昇る太陽神は「ヘプリ」と呼ばれます。
また、太陽神は毎日「生命の野(イアルの野)」で沐浴(水に浸かって浄化)してから再生して天に昇るとも考えられました。 

ラーの働きは何人かの娘として人格神化されました。
それはまず、ラーの「目」/「額」であって、「優しい太陽」/「強すぎる太陽」でもあって、コブラや獅子頭の女神の姿をとる「ウアジェト」と「ウラエウス」です。
この2人は「統治力・炎」という性質を持ちます。そしてもう一人が、「マアト(正義)」です。

また、メンフィスの神話では、例外的に一神教に近い表現が行われます。
「原初の鍛冶の神プタハ」が8神と「原初の丘」を生み出して、さらに心臓である「シア(思考・知恵・知識)」と口である「フウ(言葉)」によってすべてを生み出します。
これらはプタハの働きであり、人格神化されて2つの男性神となりました。
ヘレニズム期の頃にユダヤ教では「ホクマー(知恵)」、キリスト教では「ロゴス(言葉)」が人格神化されましたが、「シア」と「フウ」の存在はこれにはるかに先駆けます。
シアとフウはラーの神話にも取り込まれました。

次に天地創造の段階で、「創造神・光の神アトゥム=ラー」から「空間・空気の神シュー」(写真下)と「水・水蒸気の女神テフヌト」が生まれ、主権がシューに譲られます。
一説では「太陽神ラー」はシューとテフヌトの息子とも考えられました。
次に、一体となった「天の女神ヌト」と「地の男神ゲブ」が生まれ、シューが天地の2神を引き離して世界が作られます。
そして、主権がゲブに譲られます。

そして、また天地2神から「イシス」、「オシリス」、「セト」、「ネフテュス」、さらに「ホルス」の5神が生まれます。
鷹神であるホルス(写真上右)は第2の太陽神(太陽鳥)でもあって、また、エジプト王であったオシリスの子として、不毛神のセトと戦って豊穣をもたらします。
こうして、主権(主神)はラーからシュー、ゲブ、オシリス、ホルスへと次々と新しい世代の神へと移されます。

shu.jpg

*写真:天神ヌトを地神ゲブから切り離すシュー

エジプト神学の特徴は、おそらくトーテムに由来する動物の象徴を残していること、王がその化身とされた太陽神(ラー=ホルス)が強力なこと、主神で豊穣神に相当するのが、強力な嵐神ではなく、本来は地界神だった、冥界神で穀物神の優しいオシリスという点です。

エジプト創造神学の神統譜・階層
至高神の静的次元
原初の水ヌン
深淵・混沌
原初の蛇
至高神の核的次元
原初の丘・蓮
宇宙卵
至高神の創造的次元
太陽神アトゥム
アメン/プタハ(不死鳥)
悪神・原母
悪蛇アペプー
至高神の副次的次元
正義 マアト
力 ウアジャト・ウラエウス
言葉 フウ・至高シア
天の素材神/地の素材神
空気男神シュー
/蒸気女神テフヌト
天神/地神
ヌト/ゲブ
旧主神
(オシリス)
主神
鷹神ホルス
悪神・悪獣
悪神セト

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