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創造神話の神智学化 [創造神話と古代神智学]

多くの原始的な神話は、無意識的な思考に多くを負って作られた素朴で象徴的な物語です。
ですが、やがて、意識的な思考や神秘主義的な直観や瞑想的体験がそこに加えられることで、より高度な象徴性をもった、神学的、神智学的なものへと発展していきました。

この過程の中で、神話は再解釈されたり創り変えられたりしました。
また、同じ象徴を使っても、より抽象的な意味を持つものへと深められていきました。
ちろんこういった思想の多くは、一部の神官達などの秘密の教えとして存在していたので、後世に伝わったものはその一部だけでしょう。

神話の中でその形而上学的・哲学的要素が最もよく現われているのは創造神話です。
創造神話には、原初の根源的存在から原初の神々が生まれる「宇宙開闢」と、その中から現れた創造神によって現在の天地が作られる「天地創造」の2つの段階があります。
細かく言えば、さらに人間や文化、国家の創造が続きます。

このブログでは「宇宙開闢」に現れる神々は「原初神」、「天地創造」以降、天に属する神々を「天界神」、地に属する神々を「地界神」と呼びましょう。

 ・ 宇宙開闢=原初神
 ・ 天地創造=天界神/地界神

「宇宙開闢」神話には、「混沌からの創造」と表現できる1つのパターンがあります。
これらの神話によれば、初めに、「原初の水」、「混沌」、あるいは「深淵」、「暗黒」としか表現できないものがあります。
そして、これらから宇宙開闢の最初の神々、そして物質的な宇宙や天地が生まれるのです。

まず、「原初の水」から「原初の丘」あるいは「宇宙蓮」が現われてここに「黄金の卵(宇宙卵)」が生まれます。
「夜の女神(暗黒)」が「風」によって「宇宙卵」を生むこともあります。

次に、卵が破れて中から「原初の巨人(胎児)」が現われます。
巨人はどんどんと大きくなり、卵の上の殻は押し上げられて天になり、下の殻は大地になります。
そして、この巨人が犠牲になって、その体の各部分から星々や世界が創られることもあります。
この「原初の巨人」は後世、より積極的な「創造神」や「光の神」、「太陽神」へと変化していきました。

ところで、部族社会で広く語られる創造神話に一見これと似たものがあります。
それは、水鳥が海底から泥を拾い上げて亀の上に盛るとそれが広がって大地になった、とする神話です。
これは天の神々が生まれた後の話でなので、「宇宙開闢」の神話ではなくて、「(海からの)大地創造神話」です。

これには無意識から意識の誕生やその拡大が投影されています。
ですが、「混沌からの(宇宙)創造」である「宇宙開闢」の神話には、あえて言えば無意識そのものの誕生が投影されています。

 ・ 宇宙開闢神話 : 無形の情動から構造化された無意識の創造
 ・ 大地創造神話 : 無意識から意識の創造

「混沌からの創造」の神話には、流体的で無形の素材から、固定的な秩序と形のある世界が作られたとする発想があります。
ですが、「原初の丘」や「宇宙卵」から現われるのが太陽神などの「光神」とされた時、「創造神話」は「至高存在からの創造」と呼べる階層的な性質の強いものになります。

 ・ 混沌からの創造 ≠ 至高存在からの創造

この神話は遊牧民族がもたらしたものかもしれません。
遊牧民族は太陽に象徴される抽象的な法と、垂直的な階層を重視する傾向があります。

神秘主義的な思想はこの「至高存在からの創造」の考え方を持っています。
最初に抽象的な至高存在があって、そこから自然に存在のレベルの低い神々や世界が、至高存在の限定された現われとして、順に生まれてくるというものです。

これは哲学的には「流出論(発出論、開展説)」と呼ばれます。
至高存在は世界と連続していて世界に内在しています。
こういった神話は、無意識的な神話的思考でも意識的な思考でもなくて、深い瞑想的で直観的な思考をもとにして生まれるものです。

この「至高存在からの創造」の神話は、「混沌からの創造」の神話とは別のことを表しています。

「混沌からの創造」は、「闇から光へ、無秩序から秩序へ、無意識的なものから意識的なものへ、そして、中心から上下へ、深層から表層へ」という創造なのに対して、「至高存在からの創造」は、「光から闇へ、運動から凝固へ、意識的なものから無意識的なものへ、上から下へ」の創造です。

「混沌からの創造神話」は、世界を作る神々や根源的な素材がすでに存在していて、世界は形作られ、秩序作られるのです。
一方、「至高存在からの創造」は、創造の前には一切の存在者も素材もなく、動的な至高の絶対者が凝固・限定されることで、静的な秩序が生まれるのです。

 ・ 混沌存在からの創造 : 闇→光、無秩序→秩序、無意識→意識
 ・ 至高存在からの創造 : 光→闇、運動→凝固、意識的→無意識

「混沌からの創造」の神話は時代を経ると、それが光神・太陽神を重視したものであってもそうでなくても、形而上学的・哲学的に解釈されて神話的な神学に高められました。
創造神話が創造神学となったのです。
この過程の中で、「混沌からの創造」の神話は神秘主義的な「至高存在からの創造」へと再解釈されていきました。
そして、至高存在が宇宙創造にいたるプロセスが段階化されて認識されました。


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